皆様、

特別な1年であった2020年も終わりを迎えようとしておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

私たちがおりますチェコ共和国も日本ではなかなかニュースにこそなりませんが、近隣のヨーロッパ諸国と同様に、また時にはそれ以上に厳しい状況に耐える日々が続いております。
世界中どこにいても心休まらないなと感じる1年であったなと思います。

今年の初めには、今夏のコンサートで皆様にお目に掛かれるものと思っておりましたが、残念ながら叶わぬものとなりました。
プログラム等の企画はしたものの、刻一刻と変わる状況を考えると帰国もままならないということで、プラハに留まっておりました。

状況が悪化する中、佐久間の所属するオーケストラではコンサートというコンサートが、また私の所属する教育現場でも、子どもたちが楽しみにしていたコンサートやコンクールが全てキャンセルになり、何とリモートで合唱のレッスンをするという事態に。日本にいる音楽家と同じように、私たちも表現の場を失いました。
この期間、辛かったことは、モチベーションを保つことの難しさに直面したことかなと思います。
早起きしなくていい、どこにも急いで出掛けていかなくていい、家でのんびりしていればいい。しかし、コンサートでもコンクールでも発表会でもレッスンでも、そういった日々の目標が一切ないのに頑張ることの難しさ、頑張れなかったときの虚無感と向き合うのは辛いものでした。

また、この間も医療の現場で働く方々、スーパーで働く方々、物流関係の方々など、我々の命を繋いでくれる方々の力なしでは生きてはいけないと、当たり前が当たり前ではなかったことに気付かされました。
 

この度、2度目のロックダウンが終了したタイミングで挑戦したクリスマス動画2020を見てくださり、ありがとうございました。
実は1度目のロックダウンが終了した後に、何かできないものかと試行錯誤し、上手く行かずボツになった企画に挑戦していた時期があったのですが、今回は実現してよかったと思っております。
私の中では1つの動画に付き5回ずつでも見て頂ければ嬉しいなと思っていた中、クリスマスが過ぎてからも視聴回数が伸び、12/29(火)現在、各動画300回を越える視聴回数となっており、本当に驚いております。
まだ動画も3本(+裏動画1本)と少ない中、思いがけずチャンネル登録をしてくださった方もいて、大変嬉しく思っています。せっかく登録をしてくださった方にも見やすいようなチャンネル構成に今後していきたいと思っております。なにぶん今までYouTubeは見る側でしかなかった初心者ですので、少しずつ勉強していきます。

この企画のヒントになったのが、3曲目の映画ホームアローンの作中に聴かれる合唱曲Somewhere in My Memoryです。
実は元々この曲は私の所属する合唱の現場で歌われる予定のものだったのですが、せっかく伴奏を録ったのにこの状況下で合唱は練習もできず、使われることなくお蔵入りしそうだったもので、それならば歌のパートを全て弦楽器でやってみたらどうだろう、という、恐らくよくあるパターンかなと思うのですが、そこがヒラメキになった作品です。
世界がこのような状況にならなければ、足を踏み込めなかったであろう多重録音への挑戦でしたが、やってみてよかったな、と思っております。
曲を決め、誰がどのパートを演奏するかを決め楽譜を振り分け、まず鍵盤楽器の録音にいそいそと出掛け、思ったように各パートが合わないと後日録り直しに出掛け、そこに弦楽器を乗せるもしっくりこずに録り直し、音の編集にこだわっている間にあっという間に時が過ぎ去り、できあがった音にビデオを付ける編集作業で座り過ぎて腰を痛め、やっと完成した動画たちでした。

チェコ共和国では既に3度目のロックダウンが始まっています。2度目のロックダウン解除からたった3週間、慣れる前に戻ったという感じです。
日本のニュースを毎日チェックしておりますが、穏やかではない状況を大変心配しております。私たちにできる対策は限られたものではありますが、どうか皆様お身体を大切になさってください。

また皆様に安心してお目に掛かれる日が一日も早く来ることを楽しみにしております。

 duo Nota
 佐久間雄矢　河野翔子